シュレティンガ―・無職

私は無職なのか、それとも。

5月25日であろう 〜暦の上では夏ですが〜

隣のヒョウ柄ばあさんが結構な声量でTUBEの「シーズン・イン・ザ・サン」を歌うもんですから、スーパーの精肉売り場はさながらライブ会場のようでした。

 

ニューノーマルと逆光するこのスタイルは、まさに「夏」。暦の上で今現在は夏であるわけで、よく分からないけど夏ってこうだよなぁと妙に納得して、胸がすくような気持ちになる。私に足りなかったものはコレなんだと思い知らされる。最近太り気味な家族のために、ヘルシーな鶏ひき肉を買おうと思っていたけれど、なんとなく豚の生姜焼きが作りたくなって、夏はやっぱりこうじゃないとなぁ、夏バテしないように高カロリーが大事なんだよなぁ、なんて言い訳も全て夏のせいにする。

 

そんなわたしのノスタルジーはどこ吹く風で、ヒョウ柄ばあさんのボルテージは最高潮。歌声は熱を帯び、夏よ逃げないでくれ、と懇願している。ヒョウ柄ばあさんは、昔海外で観たケチャみたいに独特な小気味良いリズムで商品を買い物カゴに入れてゆく。私もつられて、普段は買わないちょっと高めのコーヒー豆を買ってしまう。嗚呼、夏のせい。夏のせいって楽ちんだ。店内に流れるちょっとまぬけなBGMと、ヒョウ柄ばあさんの歌声アンサンブル。なんだか陽炎のような時間だった。私の心は確かに陽が差していたのだけど、買い物を終えて外に出ると雨だった。