シュレティンガ―・無職

私は無職なのか、それとも。

6月22日であろう 〜王の余韻〜

子どもの誕生日から一夜明け、あじさいの色が美しく映える6月の朝。我が子は未だに王冠を被って、本日の主役!と書かれたタスキを着けている。どちらもダイソーで買った当日を賑やかすためのアイテムだったけど、大層お気に召したらしい。昨日は甘々の甘で、考えつく限りの傍若無人で酒池肉林であった「王の体験」を引きずっているのだろう。朝からぐるぐるストロー付きのタンブラーにオレンジジュースを入れて、ソファーにふんぞりかえってトムとジェリーを見ている。よく見ると、わたしのサングラスまで引っ張り出して装着していて、昨日より随分とパリピ感があった。昨日であれば、かしずいて巨大な葉っぱで仰いであげても良いのだけれど、王があたりまえになるとこの国は滅んでしまう。ふつうのニンゲンに戻る時が来たのだと般若阿修羅になるやいなや、ババババッと王のみぐるみをひっぺがす。子どもは声にならない叫び声を上げ、のそのそと1人で着替えを終えると、王の残滓を自身の宝箱に仕舞い始めた。慈愛溢れる、丁寧な所作であった。それを見て、この子はあと何回王の体験をするのだろうかと思う。立派な優しい王になるといい