シュレティンガ―・無職

私は無職なのか、それとも。

5月27日であろう 〜飛空艇でしか行けない場所〜

いまから、古い雑居ビルとかにある、足場が何もなくて絶対外から入れないだろのドアの話をします。

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こんなやつ。

 

 

 

RPG(ろーる・ぷれいんぐ・げーむ)

私は子供のころから、冒険(空想)が好きだった。今思うと、環境がそうさせたのだろう。私の故郷は結構な田舎だった。田舎を田舎のまま楽しむためには、空想が必要だったのです。近所の林で拾った木の棒を、伝説の剣にする妄想力。きれいな木の実はポーションが作れるし、塀に張り付いている巨大なイモムシは今でも本気であくまの使いだと思っている。雪が降ればそこはステージ5の3に早変わり、手に持つ伝説の剣は、魔法の氷をエンチャントしてサイキョーになるものなのだ。

こういった空想の糧は、ゲームによるものが大きかった。特にRPGというジャンルが好きで、私の父がゲーム好きだった影響もあり、ファイナルファンタジードラゴンクエストなどの王道RPGが家に何本もあって、それをプレイするたびに、田舎のテクスチャは少しずつファンタジア味を増していく。「ロールプレイ」という言葉は、役割を演じるという意味をもつのだけれど、田舎という舞台が見事に陰鬱とした、だけど太陽をたっぷり浴びたオレンジみたいに明るい世界観を演じていて、より一層、私を勇者みたいな現実ではない何かに仕立て上げる。トマトとチーズと同じくらいに、田舎とファンタジーは相性が良い食べ合わせなのだ。

 

 

RPGあるある早く言いたい

RPGにありがちな展開として、ゲームが終盤に近づくと「飛空挺」という、空を自由に飛び回れる乗り物が手に入ったりする。プレイヤーはこれに乗ることで、今までたどり着けなかった、山々に囲まれたダンジョンに行けるようになったり、空に浮いた魔王城に乗り込めるようになったりと、ストーリーを進める上で、非常に重要な意味合いを持っているのです。

だけど、飛空挺はストーリー進行以外にも重要なわくわく要素があって、そのひとつに「お宝探し」がある。飛空挺を手に入れることで、恐らくそのゲームでは初めて、世界全体を空中から俯瞰出来るようになる。これだけでも充分わくわくするのだけれど、空中散歩をしていると、海の真ん中にぽつねんとしてたたずむ、見るからに怪しげな小島が見つかったりするのです。そういうところには大抵ちいちゃな洞窟があったりして、その中には凄いレアアイテムが入った宝箱が隠されているものなのだ。(ちなみに、洞窟の中は無音で狭い。宝箱だけがある。これがまた意味深で興奮する。)

 

 

古い雑居ビルとかにある、足場が何もなくて絶対外から入れないだろのドア

ようはコレって、飛空挺が無いと行けない場所なんだと思うのです。だって、人間は宙に浮かべないのだもの。中には絶対に宝箱があって、周りの壁は太古のテクノロジーで出来ていて、それでいて岩みたいにゴツゴツしていて、所々から動力源である神秘のクリスタルが、蛍みたいにぼんやりと照らしていて、宝箱の中には絶対にグングニールとかいう名称のバールのようなものが入っているに違いないのです。グングニール。現実世界とRPGのせかいを繋ぐ不思議なドア。いつか開けてみたいけれど、私の人生において飛空挺が手に入るのはまだまだ先みたいだ。それに、良いことばかりじゃない。たまに、変なボスが出てくるしね。変な効果音付きで。