シュレティンガ―・無職

私は無職なのか、それとも。

7月14日であろう 〜はみ出る宇宙〜

夕方。近所にあるお気に入りのパン屋の帰り道。神さまが空の色を塗り間違えたみたいな、オレンジとパープルのコントラストであった。たぶん、オレンジとパープルの間にあるものが宇宙なんだろうな。ここのパン屋さんのベーグルは美味しいから、細目でまだ売っているかを見張っているのだろう。ベーグルは土星の環に似ているので、宇宙でも需要があるに違いない。土星のサービスエリアとかで売っていれば宇宙人もいれぐいだ。

歩道にはすこしの水たまりが残っていて、そこもたぶん宇宙と繋がっている。ひとつ、ふたつ、みっつ。その中に、明確な宇宙へのポータルが不思議を乱反射させていた。目を奪われる。本当に宇宙がはみ出しているじゃないか。わたしはキラキラと宝石みたいに光るそれらに近づく。それらは地球上で、消臭ビーズと呼ばれるゼリー状の物質であった。正体がバレても誇るように乱反射する擬似宇宙におそるおそる脚を伸ばしてみると、くにゅっとした感触に押し返されて、地球に戻って来てしまった。