シュレティンガ―・無職

私は無職なのか、それとも。

5月11日であろう

夕暮れ時、スーパーからの帰り道はちょっと高いタマゴの黄身みたいに濃淡なオレンジで、エコバッグからはみ出ているブロッコリーコントラストが私のおなかを「ぐぅ」と鳴らした。


帰り道に公園の側を通る。日中は子供たちが賑やかに遊んでいるこの場所も、オレンジ色の風景の一部になってしまっていて、私は飲み込まれまいと少し歩調を早くする。


公園の「はじ」には、まだ風景になっていないところもいくつかあって、中学生くらいの男子がふたり、キャッチボールをしていた。足元にある、真四角で大きなナイロン素材のバッグが部活帰りを教えている。パシッという音だけが、メトロノームみたいに規則性を奏でて、そのリズムを頼りに木の影でオジサンがパラパラを踊っていた。


素晴らしく意味不明。

無音でオジサンがパラパラを踊っている。

男子達は気がついていないのか、パシッパシッっとオジサンのリズムを作る。それに呼応するように、無音のパラパラは続く。まるでタイムマシーンだな、と私は思った。オレンジ色の空は少しずつパープルへと変わってゆく。その光景を観ていると、パラパラのチャーハンが食べたくなった。