シュレティンガ―・無職

私は無職なのか、それとも。

5月24日 〜ぼくのかんがえたさいきょうのあそび〜

今週のお題「何して遊んだ?」

「ぼくのかんがえた、ゲームであそびたいです。」

子供がそういうもんですから、私は手を止め、それに付き合うことにする。聞くと、まだゲームの名前は考え中。既に友達とやったことがあるのか、手慣れた様子でフローリングに宇宙みたいな色のおはじきを並べてゆく。その小さな手で作られる銀河系は、真ん中に「風」と書かれているお気に入りのウルトラマンバッジを鎮座させることで完成するらしい。並べながらルールを説明していたのだけど、私が聞き取れない言語で説明していたので、よくわからない。わかっているのは、銀河の中心は風、ということだけだ。

 

子供がおはじきを指ではじく。銀河系が変わる。うちゅうのほうそくが乱れる。おはじきは空を切り、悔しそうな表情を見せる。次は私の番だ。おはじきをぶつけるゲームだと理解して、指で勢いよく弾くと、銀河の中心たる風にぶつかった。

「あー!ソウル!それソウル!!!!」

そうか、今のはソウルか。全く意味が分からない。私のおはじきが没収される。子供がおはじきを指ではじく。ブラー、ブラーと言いながら、おはじきを3つ取る。私もおはじきが欲しい。とりあえず、風に当たらない様におはじきをはじく。勢いよく進むおはじきは、何にも当たらず部屋の隅まで移動した。

「またソウル!!!ソウル!ブラー!!!!」

そうか、これもソウルか。全く意味が分からない。私のおはじきが没収される。次にソウルをしたら負けを宣告される。手厳しい。子供がおはじきを指ではじく。おはじきの運河にぶつかり、はじかれたおはじきが、かすかに風にふれる。私は、これはソウルだと思った。ソウル!これソウル!子供は落ち着いた口調で答える。

「いや、これはスキージだよ。」

そうか、これはスキージなのか。全く意味が分からない。なぜか私のターンが飛ばされる。こどものおはじきは順調に増える。私もおはじきを弾く。おはじきにぶつかる。どうだ。

「ブラー」

赦されたらしい。おはじきを手に入れる。なんて戦略性の高いゲームなんだろうか。全く意味が分からない。よくわからない遊びは楽しい。ゲームは続いていく。熱を帯びる。指に力を込める。そして銀河を構築していたおはじきが無くなる。残っているのは、風だけだ。

子供の顔を覗き込む。その表情は真剣そのものだ。私は理解する。私はおはじきを優しくはじき、風の中心へと進む。カチンと。風が吹く。

 

「それソウル!!!!!ソウル!!!!!ハイまけ!!!!!ぼくのかち!!!!!!!!!!」

 

そうなのだ。風にぶつかるとソウルなのだ。わかっていたけど、負けてしまった。こどもは無邪気に笑っていた。私も笑った。