シュレティンガ―・無職

私は無職なのか、それとも。

6月17日であろう 〜賞味期限の魔女〜

「年上の後輩のおばちゃんが、賞味期限切れたお菓子ばかりくれるんだけど魔女なのかな?」

友人からLINEが来て、そりゃあ魔女案件だね、とわたしは返す。でも魔女だから、負の賞味期限なのかもしれない。なんてったって、相手は魔女なのだから、俗人が定義した数字ではなく、ちゃんとお菓子と対話してそのお菓子が究極的に美味しくなる瞬間を魔術的に見極めた結果、単に賞味期限という数字を超えてしまっているだけで、むしろそこから善の賞味期限が始まるに違いない。善の賞味期限は人知を超えたスーパーフードの指標なのだ。

 

「でも、グミなんだよ?」

賞味期限の切れたグミはいやだなぁ。やっぱり賞味期限って大事だ。魔女がくれるお菓子だから、勝手にクッキーだとばかり思っていた。でもなんでグミだと賞味期限を信じてしまうんだろうか。なんか生っぽいから?魔女のグミは大きなつぼ鍋で聞いたことのない木の実をぐつぐつ煮込んだにこごりみたいなやつで、食べると禍々しいサタンが口いっぱいに広がるに違いない。

 

「あと漬けものもくれるよ」

ミルクボーイ並みの後出しじゃないか。漬けものをくれるなら、それは魔女じゃないよ、気のいいおばあちゃんだよ。おばあちゃんと漬けものには、賞味期限という概念はないよ。

美味しかったと友人は大層喜んでいた。