シュレティンガ―・無職

私は無職なのか、それとも。

6月24日であろう 〜ふかふかのりんご〜

#好きだった給食

 

わたしの地元はいわゆる「りんごが有名な県」で、特に田舎の方は、どこの家庭も大抵は親戚がりんご農家だったりとか、何かしらのりんご関係者と繋がりがあった。だもんで、子どもの頃は毎日のようにりんごを食べておりました。当時一緒に住んでいたおじいもご飯時には、一日一個のりんごは万病を遠ざけるんじゃ、と毎日毎日ハト時計みたいに教えてくれて、わたしはその教えを忠実に受け止めて毎日毎日シャクシャクシャクシャクりんごをかじっていた。シャクシャクシャクシャク。そして、唐突に飽きた。

毎日りんごシャクシャインの儀は、小学生のわたしからりんごのありがたみを奪い、蜜に舌を飽きさせてしまうのに充分すぎるシャクシャインであった。そもそもバリエーションが無かったのも良くない。当時を思い出すと、りんご県のプライドなのか、家族がレシピを知らなかったのか、生のりんごしか食べていなかったように思う。それだと食感がシャクしかないのだもの。もっと、横文字がふんだんに使われる呪文みたいなりんご料理を、当時のわたしは夢見ていたのかも知れない。今考えるとりんごに飽きるとは大変贅沢な悩みであって、大人になって初めて東京に移り住んだ時、りんごをお金を払って買うことに衝撃を覚えた。そりゃあ、考えれば当たり前の話なんですが、なんとなくりんごは空気と同じだと思っていた。今では、あのシャクが恋しくなることが多々あって、スーパーでりんごを買うときはちょっと複雑な感情でカゴに入れる。

そんな幼少期。給食で出された「りんごパン」に衝撃を覚えた。コッペパンに柔らかい角切りりごのジャムが練り込まれている美味しいパンで、わたしにとってはカレーとかラーメンなんかよりも素敵な月に一度のご褒美給食。りんごの味がするのに、ふかふかしているじゃないか!ふかふかしているのに、りんごの味がするではないか!言葉にするとそれだけなのに、なんだかおとぎ話に出てくる不思議な食べ物のように感じる。あのふかふかと柔らかい食感が、わたしの感性をロケットみたいにぶち抜いて、初めて食べた時から今まで、大好きな給食と言ったらりんごパンを推させていただきます。似たようなパンは数あれど、あのパンにわたしの中のりんごは救われ、かくしてりんごは赤く輝きを取り戻したのである。

Oisix特別お題キャンペーン「好きだった給食メニュー」

Oisix(オイシックス)×はてなブログ 特別お題キャンペーン
by Oisix(オイシックス)